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芸術・芸能の趣味

能楽鑑賞を趣味に|楽しみ方がわからない初心者に魅力や曲目を解説

能楽鑑賞を趣味に|楽しみ方がわからない初心者に魅力や曲目を解説

 

 

暇つぶし能楽鑑賞
人数1人
価格0円~
道具いりません!

 

暇つぶしに能楽鑑賞のススメ

スタッフ
こんにちは!

暇つぶし提案インストラクターです。

 

今回、私から提案する暇つぶしは『能楽鑑賞』です!

 

 

敷居が高い、難しくてわかりにくいと思われがちな能楽ですが、鑑賞にあたってちょっとしたコツさえわかっていれば、誰でも気軽に楽しむことができるんです。

 

やることなくて暇なら、能楽を趣味にしてはいかがでしょうか?

 

私は十年ほど前に能楽に魅了されてから、毎週のように能楽堂に足を運んでいます。また趣味として能楽を習い、その奥の深さにドはまりしてしまった一人です!

 

みなさんに、能楽を楽しむちょっとしたコツと、初めての鑑賞におすすめの公演、曲目などを紹介したいと思います!

 

この記事の内容

  • 能楽の魅力 能楽とは日本の古典ミュージカル
  • 物語があり役柄で五つにわかれる
  • 初心者でも分かる 能を鑑賞するための基本知識
  • 全国の能楽堂
  • 実は超お手軽に観れる能楽!DVDやラジオ、動画紹介

 

能楽の魅力 考える余地のある芸術作品

宝生能楽堂

宝生能楽堂(筆者撮影)

 

能楽はわかりにくい・・・そんなイメージをお持ちかもしれません。

 

実際その通りです!(笑)

しかし、それはテレビのドラマや映画などの「あー面白かったね!」で終わるエンターテイメント作品と違い、「あの時、彼女はそういう感情だったのか・・・」「これはどういう意味なんだろう・・・」と考える余地のある芸術作品だからなんです。

 

周囲の空気を読むことに疲れた方、一人でじっくりと考え事をしたい方。能楽はそんな方におすすめです。

 

700年前から変わらない時間の流れ、登場人物の心の動き、そういったものに想像をめぐらし、自分の心の整理をする。大昔の日本人が作ったものなのに、きっとあなたに新しい体験を提供するでしょう。

 

能楽とは世界最古の舞台芸術 古典を題材にしてミュージカル

能 吉野天人

能 吉野天人

 

能楽は700年の歴史を持つ、現存する世界最古の舞台芸術です。

ユネスコの無形文化遺産にも、第一回(2001)に選ばれた世界中の文化遺産のうちの一つとして選出され、日本を代表する伝統芸能です。

 

スタッフ
第一回の世界無形文化遺産に選出されたのは19個。そのうちの一つが能楽だったんです

 

簡単に言ってしまえば、能楽は日本の古典作品を題材にしたミュージカルです。物語があり、多種多様な登場人物がいます。

物語は、「シテ」と呼ばれる主人公に応じて五種類に分けることができ、神話や歴史上の有名な神、人物のほか、名前もないような庶民も出てきます。

 

物語の種類(主人公の大別)シテ(主人公)の例
天照大神、住吉明神、西王母
源義経、平敦盛、坂上田村麻呂
小野小町、静御前、花の精霊
漁師、盲人、子を探す狂女、俊寛
人喰い鬼女、地獄の鬼、鵺、天狗

 

 

その多くが神や鬼、精霊、亡霊などの非現実的な存在であることも特徴です。

これはなぜかと言うと、舞台が常に現在進行だからです。我々が昔にタイムスリップするわけではなく、能舞台の上で、生きている観客の前によみがえるのです。

 

豆知識

芸能の創始は宗教と切っても切り離せない関係にあります。

日本で言えば神を憑依させ舞う巫女などがこれに当たるでしょう

 

もちろん、能楽師の生きている役者が演じているのですが、まるで本当に死者が憑依したかのように感じる時もあります。

私などは、ふとしたときにゾワッとしてしまいます。

 

歌舞伎や狂言との違い

 

能と狂言は多くの場合セットで上演されます。そもそも能楽 = 能狂言です。

狂言は笑いを交えて庶民的な出来事を最低2~3人で演じる、いわばコントといってもいいでしょう。

 

もともと能楽の前進である猿楽は狂言に近いものでしたが、能の大成者である世阿弥によってミュージカル要素とシリアス展開が導入され、現在の能の形になりました。

 

能狂言、すなわち能楽は、江戸時代に将軍や大名に保護され、台詞一つ変えるのにも役所への届け出が必要になります。

庶民の手に届かなくなってしまった能楽の、代わり(といってはなんですが)に大変な人気をはくしたのが、有名な阿国など遊女が発祥の歌舞伎でした。

 

歌舞伎は背景のセットや舞台装置などが発達し、わかりやすさを重視したエンターテイメントと言えるでしょう。

 

スタッフ
歌舞伎には能をモデルにした「松羽目物」という曲もたくさんあります

 

 

初心者でも分かる 能を鑑賞するための基本知識

 

背景や小道具をふくめ、能楽には余計な「説明」がありません

例えば旅の僧侶が「京に着いたぞ」といって、背景が変わることもなければ、人混みを役者で表現することもありません。

 

代わりに、「地謡」というナレーターのような役割をするコーラス隊が舞台の隅に座っています。

八人ほどの紋付の男たちが、謡う以外はピクリともせず正座している姿は異様で驚くかもしれませんが、いかにも武士の芸事という感じがします。

 

能の上演風景

能の上演風景(©kyoran/能楽イラスト+++)

 

謡う、といいましたが、能楽の独特な歌唱法を「歌う」「唄う」などと区別するため謡う」と表記されます。

能楽には台本があり、これだけでも中世を代表する文学作品と称されますが、これを独特な節回しで謡い、物語を進行させるのです。

 

豆知識

能の台本の題材は、源氏物語、平家物語、古事記などの有名ものから、中国や日本の伝承、ほんの噂など様々です

 

全てを理解しようとしても、きっと疲れてしまいます。聞き取れる言葉だけでかまいません耳を傾けて、想像力を膨らましてください!

 

能楽には「序破急」という考えがあって、簡単に言うと「物事は段々早くなる」という思想です。

能楽の多くは前半、とてもゆっくりとした展開です。寝てしまっても良い、という人も多いように、集中して見ることは強要されません。

 

物語が進むと、どこかにピークがあります

 

例えば・・・

今まで物静かだった老女が泣き崩れる

主君を守るため、武将が壮絶な討ち死にをとげる

狂女が愛しい人と再会する

 

シテ(主人公)は能面をつけている場合がほとんどなので、表情の変化はありません。

ですが、その物語のピークの時に能面の表情をよく見ていてほしいです!まるで能面が泣いていたり、笑っているように見えるでしょう

 

能面は微妙な傾きで多彩な表情を見せます。このことは東大・名大の共同研究でも実証されています

 

小説を読むように、色々な想像をして楽しんで下さい

百人のお客さんがいたら、全員違うことを考えているかもしれません。しかしピークの時に、全員が一様に息を呑む。能は宗教体験に似ている、と言う人もいます。

 

大勢の大衆がブラボー!と言って盛り上がるのではなく、一人一人の胸に想いや感情を届ける・・・それが能なのです

 

能鑑賞に事前に必要な知識

スタッフ
さて、初めて能舞台を前にして、なにより目を引くのは背面にある松の絵だと思います。

 

これは「鏡板」というのですが、「影向の松」という目に見えない松を写している鏡、という考えからです。

 

そして緞帳がなく、開演前から剥き出しの舞台を見ることができます。まるで映画の上映のように、完成された作品を上演するのではなく、見所(客席のことです)と楽屋の「間」にある舞台で、一回限りの生の公演をする。

 

それが能の考え方です。

 

見所と楽屋をこの世とあの世になぞらえて、亡霊が現世によみがえる、とも考えられています

 

さあ開演、となると、「お調べ」という楽器の最終チェックがブザー代わりとなります。

囃子方が左手の橋掛かり(楽屋と能舞台をつなぐ長い廊下)を通ってそろそろと能舞台につきます。

すると地謡(コーラス隊)が右手の小さい扉から頭を屈めてぞろぞろと出てきて、右隅に正座します。

 

豆知識

囃子方は笛、小鼓、大鼓、太鼓の四つの楽器をそれぞれ受け持ちます。これに地謡を加えた姿が、雛人形の「五人囃子」です

 

物語が始まると、ほとんどの場合最初に出てくるのはワキです。

ワキというのは「脇役」の語源ですが、むしろ物語を脇から見届ける主観人物の役目をつとめます。ワキは舞うことはなく、お客さんの代表として舞台上でシテ(主人公)と出会い、静かに鎮座します。

 

前述したように、シテは亡霊などの神秘的な存在が多いです。

なので能面をつけるのはシテだけ。シテは華麗な装束を纏って、祝ったり弔ったり呪ったりするために舞います。

 

スタッフ
舞うと踊るのちがい、知っていますか?舞うの語源は「回る」で、地面の上を足を離さず動くのに対し、踊りは飛んだり跳ねたり、地面から足を離す動きを意味しています

 

激しいものからゆっくりとしたものまで、色々な舞いがありますが、よく「引き算の表現」と形容されます。

例えば泣いている演技をするとき、普通の演劇なら実際に泣いたり、泣いていなくても大袈裟にそのフリをしますよね。

 

能では、涙を流すことも、嗚咽を漏らすこともしません。静かに手を目頭にあて、涙を抑える。このような簡略化した所作、その一連が能の「舞い」なのです。

 

その大きな特徴として、基本的に床から足を離さず歩く「すり足」という独特な歩行法。

綺麗な装束や能面に飽きたら、「すり足」で動く真っ白い足袋にも目を向けてください。「歩行の芸術」とも呼ばれるように、その足の動きがあなたを夢の世界に誘います。

 

狂言方は能でなく狂言を専門とする役者ですが、能にも出てきます。物語をわかりやすく解説してくれたり、おどけた所作で笑いを誘ったり、なにかと有難い存在です(笑)

 

能楽には役職ごとに様々な流儀に分かれていて、そこに所属したら一生その役をつとめます。

公演の中心になるのはシテ方で、三役(ワキ方、囃子方、狂言方)を呼んで公演が成り立ちます

 

能楽の鑑賞方法 鑑賞料金と主要な能楽堂

スタッフ
こういう舞台って、高いイメージが・・・

 

能楽堂は屋内に能舞台を有する専門の劇場のことで、全国に40ほどあります。屋外の能舞台や、個人所有、公共施設の能舞台をふくめれば100はゆうに超えます。

 

さあ、一番の関心はお値段、というかたもいらっしゃいますよね。

心配いりません!公演のなかでも、若手の会や、趣味で能楽を稽古している人の発表会など、なんと無料!の公演もあるんです。

 

一般の公演でも、2000円~位から見ることができます。

 

歌舞伎は松竹芸能に属し連続公演も出来るのに対し、能楽は流儀ごとの公演で、文化事業として助成金を受けている場合が多いです。

 

主要な能楽堂とDVD

 

主要な能楽堂を以下に載せますので、ぜひ公演情報を調べてみてください!

 

 

 

 

その他の能楽堂

石川県能楽堂

喜多流大島能楽堂(広島県)

大濠公園能楽堂(福岡県)

平和市民公園能楽堂(大分県)

 

このほかにも、全国の文化施設や劇場、もしくは公園や社寺での薪能などで能楽の公演があります。

 

NHKやネット上でも放送していることもありますので、まずはそれをご覧になることも。

マニアックなところでは、ラジオ放送で物語の音読を聞くこともできます。

 

ラジオで聞ける能楽

FM能楽堂

 

 

DVDもあります。かつての名人の舞台を自宅で観るとができます。

 

初心者におすすめの演目

スタッフ
有名で能らしい、といえば「羽衣」ですが、初めて見る方に向けて、ドラマチックで見ごたえある三曲を選びました。

 

おすすめ①「安達ケ原」(流儀によっては「黒塚」)

本のアイコン 「安達ケ原」ストーリー

旅の山伏が、安達ケ原(今の福島県)で道に迷い、老婆の家に泊まります。

老婆は優しく山伏たちをもてなしますが、実は老婆は人喰いの鬼で・・・

 

おすすめポイント!

昔話にそのまま出てきそうな話ですが、老婆の心の孤独にスポットライトを当てた名作です。

静かな前半と対照的に、後半では嵐が吹き荒れ、般若の能面をつけた老婆に追いかけられる・・・背筋が凍りつくこと間違いありません。

 

おすすめ②「安宅」

本のアイコン 「安宅」ストーリー

弁慶を筆頭とする源義経の配下たち一行は、源頼朝から追われ奥州に落延びる途中、安宅の関(今の石川県)で疑いをかけられますが、弁慶の機転と気迫により窮地を脱します。

勧進帳を読む場面と、延年の舞を舞う場面が見どころ。

 

おすすめポイント!

主人公は弁慶で、山伏に扮した義経一行が最大十二人、狭い舞台上で立ち回りを演じます。

みな能面はつけず、当然メイクなどもしないので、若い役者から古参の役者までがズラリと並び、その息遣いや垂れ落ちる汗までもがまさに”生のドラマ”。

みなが肉弾となって義経を守ろうと関守に迫るシーンは、ド迫力の一言!

 

おすすめ③「隅田川」

本のアイコン 「隅田川」ストーリー

人買いにさらわれた我が子を探し、諸国を彷徨う狂女。

隅田川(今の東京都)を渡るため船に乗り、船頭から我が子が死んだことを知らされ、悲しみに暮れる。

墓に念仏を捧げるなか、子供の声がどこかから聞こえ・・・。

 

おすすめポイント!

オペラにも「カリューリバー」という名で翻訳されています。

草が生い茂った墓を表す大道具が最初から舞台の中心にあり、クライマックス、その中から子方(子役)が出て「母にてましますか」と言うと、わかっていても涙が止まらない。

母性の屈強さ、世の中の不条理を描いた悲劇のなかの悲劇。

 

能楽を鑑賞する時の注意点

スタッフ
鑑賞のマナーなどは、一般の劇場などと変わりません。

 

終演後の拍手は、タイミングが難しいかもしれません。また強いてする必要もありません。

皆が胸を打たれて、感慨にふけり拍手が起こらないことも。

座る場所ですが、能楽堂は扇形の見所(客席)が特徴ですので、注意が必要です。

 

正方形の舞台の二方面を囲むように見所があります。

舞台の四隅には一本ずつ柱があり、座る場所によっては柱が邪魔になるかもしれません

 

正面の席がおすすめですが、舞台に近すぎると見上げる形になります。まずは正面の後方の席に座ってみましょう。指定席だとS席とA席のギリギリのところあたりが、実は見やすいです。

能の謡いの詞章は、中々聞き取れません。予習だけでも事前にすることをおすすめします。

 

能は書き言葉、狂言は話し言葉で台詞を謡っています。

ちゃんと詞章をわかりたい方は、インターネットサイトから印刷して持って行くのもおすすめです。

the 能.com

宝生流謡曲名寄せのページ

(詞章は流儀によって多少差異があります)

 

YouTubeで能を解説した動画も見れる

 

スタッフ
YouTubeにも動画があるので、雰囲気をつかんでみるのもいいですね。

字幕付きで能を丸々見れるものから、わかりやすい解説のものまであります。

 

「No problem! 初心者のための能入門講座」文京区公式チャンネル

 

また公式サイトや解説サイトで情報収集もおすすめです。

 

 

脱初心者!能楽鑑賞の楽しみ方

 

鑑賞だけでなく、自分で舞い、謡うことでより楽しめる能楽。

江戸時代以前から、能楽は武士の心身の修練のため、また趣味として親しまれていました

 

織田信長、豊臣秀吉、岩倉具視、正岡子規、夏目漱石なども能楽の大ファンで、自分でも稽古をしていました

 

この能楽師の先生に習いたい!という方ができたら、弟子入りするのも一つの手です。

もちろん、ワークショップや教室なども全国にあります。奥の深い芸道の世界、きっと世界観が変わるにちがいありません

 

まとめ

能楽鑑賞をおすすめさせて頂きました。

少しでも興味を持っていただけたら嬉しいです。実際に見る能舞台は、それだけでもオーラがあり、心が落ち着きます。

日本が世界に誇る芸術、能楽をぜひ体験してみてください!

 

  • この記事を書いた人

hagezya

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